茶の行で肚をつくる

大正9年6月18日横濱平沼岡野公園で裏千家眞行の許しをいただいた印次の日の記念にとった寫眞です。
私はその頃お茶に心酔してゐました。近頃はよく肚をつくるといふことがいはれて、今度文部省で國民学校の實施にあたつては今までの體操科を體錬科として肚をつくるといふことですが、

私たちの娘時代にはお茶、今のやうな形式的に、形だけ飲み方だとか、たて方だとかを教はるばかりでなく、今の言葉でいへば”體錬の修業”として習ひ、又教へられたものです。

やまとなでしこ
  引 次をうけたのは元宗匠で今の淡々斎宗匠のお父さんの代理として鷲山宗宙といふ方が来られて引次を受け、宗珠といふ名前をいただきました。  かういふ儀式 の時には暑くても扇子をつかふことも許されないし、汗をかくことは失禮とされてゐます、それで緊張すれば、汗を出さないといふ修業をしたものです。

だから6月18日でその日はずゐぶん暑い日でしたが、引次を受ける間中ちつとも汗をかかないで、普段いはれたのを體験しました。緊張してゐたせいか暑いといふ感じも全然もつてゐませんでした。
 御後へ紡いでまいります・・・

※  原文のままの文字使いを使用しています。