聖上、皇后、皇太后、各宮家の榊、供物と各氏よりの幾百個の生花、花輪が列び、臣民としては最高最大の天台宗に依る葬儀は、勅使の御代香、各宮家の御代香、高橋是清首相以下各大臣朝野の各士の焼香、清和会を代表して私の他六名が特に参列を許されました。

ホールの外は廊下玄関広場、庭に至るまで花輪で埋まり、一般の告別式は四時半までかかりました。二時間ほどは日本間で、御遺族の方々と休憩いたしました。
出棺は五時になりました。鳩山家の車に、鳩山・星島・植原・鈴木の各夫人と私が乗り、霊柩車より九番目でありました。
落合の火葬場にゆきます沿道は、人垣で埋まり国民葬のようでありました。

五月二十一日、広い芝生に木立に、五月の陽光がみどりと輝き、思い出多い首相官邸の庭ともお別れの日でありました。
公邸の日本間で初七日の法要をすませました諸夫人たちは、喪服に襷がけの甲斐甲斐しさで、四谷の私邸に引移る荷作りに立ち働かれました。

やまとなでしこ

 

 

御後へ紡いでまいります・・・

※ 原文のままの文字使いを使用しています。