半年後、私邸を出て首相官邸に移られるときは、二,三年は犬養内閣はつづくものと、思ってをられたのでありましょう千代子夫人の胸中を想いますと、働きながらお互い泪ぐんでをりました

夕方までには無事に引移られました。四谷の犬養邸の千代子夫人の居間に安置されました御遺骨をお見上げして、私は悲しくてそして口惜しく泪ぐみました。

あわただしくすぎました公邸の一週間を、仲子夫人や多田夫人と語り合ひ、五月の夜を九時過ぎに辞去しました。

六月三日(金)斎藤実内閣に、文相として鳩山一郎氏が留任されました。

午後二時犬養邸のお佛間には、鳩山・秦・山口・田子の諸夫人と私も同席。仲子夫人より、「葬儀の日に、清和会を解散する云々につきまして、犬養会長が、塩原常任理事に申したことは取乱しての一時的の感情であったと、私は母の心持を察してゐますので、お詫びを致します」と挨拶されました。

神経痛で臥床中の会長の枕辺に、皆様と共に御挨拶にゆきました。常任幹事会は、六月例会は会長喪中に付、休会することにきまりました。

御後へ紡いでまいります・・・

※ 原文のままの文字使いを使用しています。