雨上がりの寺内は青葉の色もあざやかで、奥の控室の床脇には、遺愛のバラと白いカーネーションの花瓶の間に、私服鵜方の木堂先生の遺影が飾られてありました。

青葉が陽をさへぎって広々とした室はヒンヤリとしてをり、松野鶴平、砂田重政、武藤七郎の三氏だけをられました。
すぐ近くの繁みから小寿鶏の鋭い声が深閑とした寺内にひびいてをりました。

 そこへ安藤正純国務大臣、、久原房之助、内田信也、植原悦二郎、宮島清二郎の諸氏と、三士忠造未亡人、若宮貞夫未亡人、橋本龍伍夫人、その他の人々が参集されました。

そして健氏夫妻に令息康彦君が、新妻をつれてこられまして、「家内です」と紹介されました。

御後へ紡いでまいります・・・

※ 原文のままの文字使いを使用しています。