清和会35年誌 常任理事 塩原静さんの手記より

清和会に入っていらっしゃる新しい会員の方の皆様に向けての、塩原さんの人となりをお分かりいただく為に、お書きになったものです。

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〔古ごよみ〕

やまとなでしこ

 

私は横浜生まれで、函館は地蔵町で育ちました。新開地であるその頃の函館は好景気色時代で、私の家は和洋缶詰問屋で店の物も大勢いました。

 

店 の広い板敷きで、私は物差を肩にして「ツンツルテンツルテン」と、まはらぬ舌で調子をとりながら、おカッパ頭をふりたてて「猿回し」を踊つていたさうで、 四歳から西川流の踊を習いまた好きでした。

やまとなでしこ

 

六歳の時に芝居小屋に開かれた温習会では、金太郎と汐汲を、とても巧者に踊って、両親を喜ばしたそうです。その 時の踊衣裳は東京まで父がわざわざ買いに出掛けたそうで、汐汲の踊りでは引き抜きのところで、緋縮緬の総鹿子絞りの長襦袢にちいさな鈴を沢山縫ひつけたの で、その鈴音が可愛くひゞいたということです。

 

 

御後へ紡いでまいります・・・
※ 原文のままの文字使いを使用しています。