二月二十六日(金)五寸あまりもつもった雪道を自動車で公邸にゆきました。
広々とした公邸の庭は、雲の白さが陽に反射して、木々の梢の美しさに見とれました。
首相夫人外相夫人と清和会のことで要談を致しました。来客が多く、夕方までその応接に忙しく、夜食は御夫妻と御一緒でありました。食後に、首相は私に政友会の成り立ちについて話して下さいました。

二月二十八日(日)正午近く、首相夫人御自身で電話をかけてこられまして、相談したいことがあるからすぐきてほしい、とのことでした。
学期末試験の下調べをしなければならない、大事な休日に困ったとは思いましたが、すぐ来るまでゆきました。
鳩山・砂田の両夫人もきてをられました。静和会の役員のことや、官邸で清和会会員を招待することなどの相談も、無駄なくまとまりまして、三時に帰宅しました。

三月七日より十五日まで連日試験のために登校しましたので、公邸には行きません。

三月十六日午後二時、半年ぶりで日本間に行きますと、首相夫人は結髪中でした。
この日は首相夫人が会長として、清和会の諸姉を招待される園遊会でした。
首相官邸の正面玄関から、訪問着姿の夫人たちが参集されました。


薬玉形のシャンデリヤが左右にスラリと下がる美しい大ホールに、赤ビロードの椅子が列び、出席会員は約三百名でありました。犬養首相も御出席下さいました。司会は塩原常任幹事、会長の挨拶は若夫人の犬養仲子が代読されました。会務報告は鳩山常任幹事。新会員(新代議士夫人たち)の名前を呼び上げました。

新会員を代表して、三重県の堀川幾英夫人が謝辞をのべました。芝生の椅子に席を移して、園遊会になりました。手品、百面相そのほかの余興を見物したり、おでん寿司密豆腐等の屋台もありました。
四時近く花曇のうすら寒い風が出ましたので散会になりました。

   四月一日(金)午後鳩山婦人と公邸にゆきました。
一万二千坪の芝生の庭には、春光うららかに赤松の枝が影を写して、おだやかな芝生の道を散歩されます首相御夫妻につづく鳩山・砂田の夫人たちと私の五人を、近藤秘書官が撮影しました。

  宮崎護衛(刑事)が十六ミリの映写機をまわしました。築山の下、池の畔の芝生に卓と椅子が用意されまして、菓子や果物その他をいただきました。ことに首相愛用のコーヒーの香りが春の微風にただよひ、仲子若夫人もこられまして、愛孫道子サンと康彦チャンは芝生をかけめぐってをられました。

御後へ紡いでまいります・・・

※ 原文のままの文字使いを使用しています。