次ぎ次ぎとこられます弔問者の応接で、私はほどんどお居間を出られませんでした。木堂先生(犬養氏)の御遺骸のそばに、長く居られます御縁の深さを喜びました。
夕方やっと帰宅して、入浴後一眠りしました。喪服に改めまして、公邸にゆきました。五十名ほどの清和会会員と、御納棺に参列いたしました。
白いカーネーションを一輪、包帯のままの故犬養首相のお顔の近くお入れして合掌のまま鳴咽しました。

五月十七日は午後三時に公邸にゆきました。                                                                                                          天皇陛下より御下賜のお料理を、清和会会員に一口づつ差し上げました。
夜十二時すぎ、秦豊助夫人と辞去いたしました。
五月十八日は、首相官邸最後のお通夜でありました。夜七時十五分からラジオで古島一雄氏が「故犬養毅首相の話」を放送されました。各宮家、徳川家達公等々よりお供物の菓子を、清和会会員に分けました。
五月十九日は首相官邸に於きまして、政友会の党葬でありました。
式場の大ホールには、故犬養毅首相のお棺、白木の位牌には、「台光殿沈木堂大居士」の御戒名。礼装の写真が安置されました。

御後へ紡いでまいります・・・

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